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月例研究会の報告
2006年6月13日(火)

【ゼロ・エミッション社会への夢と大学発ベンチャーの立ち上げ】

講師:
 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 教授 吉川 邦夫

コーディネーター:
 早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 教授 東出 浩教

↑講師名(敬称略)をクリックすると、講演サマリーへジャンプします

 


東京工業大学 吉川教授

 


 

月例研究会風景

ゼロ・エミッション社会への夢と大学発ベンチャーの立ち上げ
東京工業大学大学院 総合理工学研究科 吉川教授

 吉川教授は,産学官連携による廃棄物処理システム開発により,株式会社エコミートソリューションズを2000年に設立した.今回の講演会では,基幹技術および事業展開についてご紹介いただいた.

 廃棄物処理は一般に,埋め立てと焼却が主流である.現在日本では8割を焼却処理しているが,分別回収や資源再利用の意識が高まるなか,他の処理方法が模索されている.また,廃棄物処理への規制は年々厳しくなっているが,既存の処理システムは大規模なものであり,中小規模の廃棄物対策へのニーズは高い.そこで,廃棄物(廃棄物には再利用の可能性があることから,未利用資源と呼んでいる)の持つ熱エネルギーに着目し,中小規模の廃棄物処理を対象としたベンチャービジネスを立ち上げた.

 熱エネルギーに着目する根拠として,毎年日本に流入する廃棄物の量が挙げられる.毎年日本入ってくる物資8億tに対し,出て行く物資は1億tであり,年間7億tの物資が流入していることになる.このうち約4億tを占める産業廃棄物では,金属や土石などのマテリアルリサイクルの実施率の高さに比べ,可燃性産業廃棄物はその大半を焼却処理している.可燃性産業廃棄物を再利用するためには、含水率が高いため乾燥処理が必要となるが,従来技術ではリサイクルに必要な熱エネルギーがその処理コストに見合わなかった.そこで,極めて低いエネルギー投入で乾燥し,脱臭・粉砕までを同時に行うことを可能にしたのが,産学連携で開発したMMCS(Multi-purpose Material Conversion System)である.

 MMCSの新規性は,廃棄物を乾燥しやすい状態(粉末状)にし,自然乾燥を可能にした点である.つまり自然エネルギーを利用することで、乾燥に必要なエネルギーを大幅に削減できる.そこで心配されるのが自然乾燥の際の不快臭であるが,MMCSで処理したものにはまったく問題がない.また乾燥後の処理物の発熱量は,元の廃棄物を乾燥させた場合と同じか上回っている.つまり,不快臭なしで充分燃料として利用可能な処理物を得られたことになるのである.

 また,中小規模の廃棄物処理では,運送コストの高さや立地問題の困難さが問題となるが,廃棄物の発生元で処理できれば効率が良くなる.そこで,MMCSの導入により乾燥,粉砕,脱臭が一つのプロセスとなったプラント型の廃棄物処理システムを産学連携の共同開発により構築した.また,官である地方自治体の理解と協力を得たことから,現地での運用が可能になった.これは,新たな廃棄物処理の可能性を提示しただけでなく,ベンチャービジネスの観点からも,興味深い.資金に限りのあるベンチャービジネスにとって,産学連携による技術開発,地方自治体の参画による実地試験と,産官学連携のうまみを生かした取り組みである.

 その他にも,油化技術,ガス化発電技術など,廃棄物処理関連の技術開発も積極的に行っている.今後は技術開発による未利用資源の可能性を追求すると同時に,新たな事業展望として,廃棄物処理のコンサルティングにも力を入れていきたい.

株式会社エコミートソリューションズ
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※後半は、(株)エコミートソリューションズ 顧問 古木氏の講演を予定していましたが、講師のご都合により、キャンセルとなりました。